司法書士法人アドヴァンス

不動産を相続した場合

不動産を相続したらまず登記

相続によって不動産を取得した場合、それが自分のものであることを他人に主張するために登記をするのであり、登記しなければ罰せられるというわけではありません。

「相続権のある私たち以上に遺産が行くわけがない」と考える人もいるでしょう。

しかし、これで本当に大丈夫でしょうか。

不動産をめぐる相続問題は、とにかくスムーズにいかないことも多くあります。

つまり登記をしておかないと、後々、困ることが起きるのが不動産相続の常識と考えておいたほうがよいでしょう。

不動産を相続したらまず登記

登記をせずに放っておくと、権利関係が複雑になります。

たとえば、被相続人の残した不動産について、相続人A、B、Cの間でAが相続するということで話し合いがうまくまとまったので、安心して放置しておいたら、相続人の一人であるCが亡くなってしまったというケースは意外と多くあります。

この場合、ただ話し合っただけだったとしたら、Aの名義に登記をするためには、亡くなったCの相続人D、E、Fを加えてもう一度協議をしなければなりません。

この協議がまとまらないうちにBが亡くなってしまったら、Bの相続人G、H、I、Jも協議に加えなくてはなりません。 そうこうしているうちにAが亡くなってしまったら・・・・

長い間登記を放置しておくと、相続権のある人が次第に増えて、遺産分割協議が整うことが難しくなります。

登記手続に必要な書類も多くなり、不動産をめぐる法律問題をさらに複雑にさせます。

相続に関するスケジュール

相続に関するスケジュール

ご注意ください、相続の開始を知った後、何もしないで3ヶ月が過ぎてしまった場合

自動的に債務も含めて「単純承認」したことになります。

相続をすることができる権利

相続する権利があるものとは?

遺産を受け継ぐことができる人として、まず法定相続人があげられます。

法定相続人とは、法律で定められた相続の権利を有する人で、

配偶者と被相続人(亡くなった人)の子(直系卑属)・直系尊属・兄弟姉妹

に、大きく分けられます。

※直系卑属とは、子・孫など自分より後の世代で、直通する系統の親族のことです。また、養子も含まれます。兄弟・姉妹、甥・姪、子の配偶者は含まれません。

※直系尊属とは、父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族のことです。また、養父母も含まれます。叔父・叔母、配偶者の父母・祖父母は含まれません。

相談する老夫婦

遺言がある場合とない場合ではどう違う?

相続をめぐるトラブルは、遺言書がなかったことが原因となる場合が多くあります。

亡くなったKさんには子供も直系尊属もいなかったため、遺産を妻とKさんの兄弟が相続することになりました。

兄弟の中には死亡している者もいて、その子供が相続人になっており、調べると法定相続人は30人にも達することがわかりました。

このような子供のいない夫婦の場合、夫が生前に「妻に全財産を相続させる」との遺言書を書いておけば、妻は全財産を誰に遠慮することなく相続できるのです。

遺言とは、自分の考えで自分の財産を処分できる明確な意思表示です。

遺された者の幸福を考える上でも、遺言は元気なうちにしっかりと書いておくべきです。

正しい遺言書を残すには?

遺言の種類による短所・長所の比較

将来のトラブルを未然に防ぐためにもぜひ書いておきたい遺言書。

ただ、たとえ夫婦でも、同一の書面に二人で一緒に遺言すると無効になります。

遺言には次の表の種類があります。

遺言書
項目名 公正証書遺言 自筆証遺言書保管制度 自筆証書遺言
①作成者
②自筆能力
③予約の要否等
①証人2人の立ち合いのもと公証人が作成
②不要→遺言者は氏名のみ自書できれば良い(字が書けなくても、口がきけなくても、耳が聞こえなくても作成可)
③公証役場に予約が必要
①本人が作成
②必要→本人が本文を自筆する必要あり。ただし、財産目録は右に同じ
③法務局に予約(ネット・電話・窓口)+本籍地付住民票抄本・顔写真付身分証明書等持参
①本人が作成
②必要→本人が本文を自筆する必要あり。ただし、財産目録は自筆でなくても代筆、ワープロ・パソコンによる作成や不動産登記簿謄本・通帳のコピーで可
③なし→いつでもどこでも可
証人 2人必要 不要 不要
費用 3万円以上(財産額と内容によるが、1000万円で約4万円) 一律3,900円(財産額と無関係) 不要
作成に必要な時間 戸籍謄本等必要書類の収集→原案作成→公証役場との案文・日程調整等、かなり時間がかかる 自分で書く→申請書作成→必要書類準備→法務局に予約→出頭等、少し時間がかかる 自分で書いて保管しておくだけなので時間がかからない
出向く場所 公証役場なら全国どこでも可(県内は佐賀市と唐津市) 住所地・本籍地・不動産所持地の法務局 なし
出張サービス あり(日当・交通費が必要) なし(必ず本人の出頭が必要) なし
・保管場所や安全性
閲覧の可否
・公証役場で原本を保管するので安全
・紛失しても謄本再発行可
・閲覧不可
・法務局で原本を保管するので安全
・保管法務局→原本閲覧可
保管法務局以外→モニター閲覧可
自宅(仏壇・たんす等)は紛失・隠匿・破棄・偽造や未発見のおそれあり→金庫、貸金庫での保管依頼が望ましい
秘密保持 適しているが、少なくとも公証人と証人には内容を知られてしまう。 適しているが、少なくとも遺言書保管官には内容を知られてしまう。 適している。遺言の存在すら秘密にできる。
保管期間 20年間(実際は半永久的) 死後50年(データは150年) なし
検索システム あり(遺言者死亡後のみ) あり(遺言者死亡後のみ) なし
家庭裁判所の検認(裁判所で相続人立会のもと開封) 不要→ただし、遺言者と相続人・受遺者の戸籍謄本の交付を受けた後、預金解約や名義変更可能 不要→ただし、遺言書情報証明書の交付を受けた後、預金解約や名義変更可能 必要→検認手続に約2ヶ月間かかるため、検認済証明書+遺言者と相続人等の戸籍謄本の交付を受けた後、預金解約や名義変更可能
無効になる可能性 公証人が関与するのでほとんどない ないとはいえない→①遺言能力、②自筆能力、③内容の正確性が問題になる可能性があるため、専門家の関与が望ましい ある→遺言能力、②自筆能力、③方式違反、④内容の正確性が問題になる可能性があるため、専門家の関与が望ましい
遺言書保管の通知 なし あり(遺言者死亡後、相続人の1人が遺言書情報証明書の交付を受けたり、遺言書を閲覧した場合、法務局が他の相続人に遺言書保管の旨を通知) なし
ただし、家庭裁判所から相続人全員に対して「遺言書検認期日通知書」が郵送されるため遺言者の死亡と遺言書の存在がわかってしまう
死亡時の通知 なし 申出により可(遺言者死亡後、法務局が遺言者の指定した人に遺言書保管の旨を通知) なし
ただし、家庭裁判所から相続人全員に対して「遺言書検認期日通知書」が郵送されるため遺言者の死亡と遺言書の存在がわかってしまう
選択基準 信用性・有効性重視 経済性・迅速性重視 経済性・簡易迅速性重視

法務省ホームページ 自筆証書遺言書保管制度

検認

遺言書(※公正証書による遺言を除く)の保管者またはこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。

また封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立会いの上、開封しなければなりません。

検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

預貯金・保険金・株式などの解約や名義変更をして欲しい

遺産整理業務について

「遺産整理業務」とは、

戸籍謄本や住民票、印鑑証明書、預貯金や証券会社の残高証明書の取得などから始まり、

相続財産の調査を行い、

財産目録を作成し、

相続人の確定した後に、ようやく

遺産分割協議を行います。

そして、遺産分割協議に従って、預貯金、不動産、自動車などの解約・名義変更を行い、さらに年金手続、保険金の請求、相続税の申告など、行うことは山ほどあります。

これらの相続による名義変更で出向く役所や金融機関の管轄がそれぞれ異なっており、相続人の方が各手続に要求される書類やスケジュールを考えなくてはなりません。

相続の手続きは、一般の人は経験がないことが普通です。

そこで、自分自身で手続きを行う場合には、専門書を調べたり、いろいろな役所へ何回も問合わせしたり、訪問したりと、時間と手間がかかります

市区町村役場は親切ですが、裁判所は、原則として一切の書類を返還しませんし、金融機関は対応がバラバラで面倒です。

例えば、委任状や印鑑証明書、戸籍謄本等の原本を返してくれるところと返してくれないところがあり、A銀行はこうだったと説明しても、B信金やC証券が違うことをいうことは、会社ごとに規則が違うので当たり前なのです。

さらに、相続人全員の実印と印鑑証明書の取得(大体3ヶ月の有効期限があります)を関係が薄い相続人に3回も4回も頼む時は、本当に苦痛だったとお客様は言われます。

しかも、通常の役所や銀行などは、平日しか営業をしていないので、仕事をしながら手続きをすることは、ストレスが溜まるものです。

しかし、始まった相続の時間の流れを止めることはできません。

もし、放置していた場合には、取り返しがつかない悩ましいリスクがあります。

遺産承継は、印鑑証明書などの有効期限を守り、相続人の気分が変わらないうちに手続きを進めることが大切です

従って、煩わしい遺産承継を司法書士にお任せすることをお勧めいたします。

財産管理に法令上の規定がある職業は、司法書士と弁護士だけです

貴重な相続財産の管理や処分などを行うことには、高度な専門知識や責任、倫理観が求めらます。

司法書士は、法令(司法書士法第29条、同施行規則第31条)によって、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務をすることができると規定されています。

これと同様の法令上の規定がある法律専門家は弁護士のみです。

そして、両資格ともに違反行為には刑法上の罰則規定がありますし、万が一のことに備えた業務保険が存在しますので、安心してお任せ下さい。

遺産承継業務の依頼をお勧めしたい方

もし2つ以上当てはまる場合は、ぜひ依頼されることをお勧めします。

  • 相続人が多い方や遠方の相続人がいる方
  • 相続人が全て高齢の方
  • 相続人に腹違いの兄弟姉妹がいる方や数次相続が発生した方
  • 思ったより多くの手続きがあり、途中で手続きが煩わしくなった方
  • 遺産(相続財産)の種類や数が多い方
  • 平日の昼間にお休み(お時間)が取りにくい方
  • みんな他人任せで無責任だから名義変更が進まない方
  • 一部の相続人が信用できないので、専門家等公平な第三者の助言を望む方
  • 相続や不動産に関する名義変更で不安を感じる方

相続手続き丸ごと代行サービス(遺産整理業務)

※ 画像をクリックすると拡大してご覧いただけます(PDFファイル)

相続手続き丸ごと代行サービス(遺産整理業務)

「法定相続情報証明制度」とは何ですか?

「法定相続情報証明制度」について

平成29年5月29日から「法定相続情報証明制度」がはじまりました。

今まで相続手続きには、相続関係を証明するための「戸籍の束(戸籍・除籍・原戸籍などの一式)」が必要でしたが、この「戸籍の束」の代わりになる証明書を法務局で発行してもらい、この証明書を利用して相続手続きを進めることで、いままでよりもかんたんに相続手続きを進めることができます。

この「戸籍の束」の代わりになる証明書を「法定相続情報証明」といいます。

「法定相続情報証明」の取得は、司法書士にご依頼いただくことが可能です。

法定相続情報証明を利用することで、相続手続きが、従来とくらべて自分でかんたんにできるようになりました。

従来の相続手続きの例

1.司法書士に相続登記を依頼する

2.相続登記完了後、司法書士から戸籍一式の束の返還を受ける

3.司法書士から返還を受けた戸籍一式の束を使って、順に、A 銀行(預金等)、B 証券会社(株式や投資信託等)、C 保険会社(生命保険等)の相続手続きをする

従来の相続手続きの例

新しい相続手続きの例

1.司法書士に相続登記を依頼する

2.相続登記完了後、司法書士から権利証と相続手続きの数分の法定相続情報証明(法定相続情報一覧図の写し)の返還を受ける

3.司法書士から返還を受けた法定相続情報を使って、A 銀行(預金等)、B 証券会社(株式や投資信託等)、C 保険会社(生命保険等)の相続手続きをする。複数の相続手続きを同時に進めることも可能です

新しい相続手続きの例

法務省のホームページもぜひ参考にしてください。

〜法定相続情報証明制度について〜http://www.moj.go.jp/content/001222823.pdf

法定相続情報証明制度の手続の流れhttp://www.moj.go.jp/content/001225651.pdf

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